輸入ビジネスの仕訳処理と消費税の設定
2012年4月15日 7:41 PM | カテゴリー:輸入ビジネス | コメント(0)
Pont des amours,Annecy |
先日のエントリー「ネット輸入ビジネス業者が押さえておくべき会計処理あれこれ」では、 輸入の会計処理について俯瞰的に書きました。本エントリーでは、もっと個別的な観点から書いてみたいと思います。具体的には、輸入仕入に関する仕訳処理、勘定科目とその消費税区分についてです。前提条件として、消費税課税事業者であり、100%課税売上用仕入である場合の話です。
まずは、弥生会計、EPSON財務応援ともに「輸入仕入」という勘定科目を新たに作成します。(勘定科目の作成は必須ではないですが、国内仕入とは別科目で管理されることをお勧めいたします。)
税抜処理を選択している場合・・・弥生会計
勘定科目 | 消費税設定項目 | 内 容 |
---|---|---|
輸入仕入 | 課税対象輸入本体 | 商品本体 |
輸入仕入 | 課税対象輸入本体 | 関税 |
仮払消費税 | 課税対象消費税4% | 消費税 国 4% |
仮払消費税 | 地方消費税貨物割 | 消費税 地方税 1% |
輸入仕入 | 課税対象輸入本体 | 通関料(郵便事業株式会社) |
税込処理を選択している場合・・・弥生会計
勘定科目 | 消費税設定項目 | 内 容 |
---|---|---|
輸入仕入 | 課税対象輸入本体 | 商品本体 |
輸入仕入 | 課税対象輸入本体 | 関税 |
輸入仕入 | 課税対象消費税4% | 消費税 国 4% |
輸入仕入 | 地方消費税貨物割 | 消費税 地方税 1% |
輸入仕入 | 課税対象輸入本体 | 通関料(郵便事業株式会社) |
では、次に弊事務所でメインで使っている会計ソフト、エプソンの財務応援の場合です。
税抜処理を選択している場合・・・エプソンの財務応援
勘定科目 | 消費税設定項目 | 内 容 |
---|---|---|
輸入仕入 | 81.不課税仕入 | 商品本体 |
輸入仕入 | 81.不課税仕入 | 関税 |
仮払消費税 | 34.課税貨物抜 | 消費税 国 4% |
仮払消費税 | 61.課貨物割地税 | 消費税 地方税 1% |
輸入仕入 | 81.不課税仕入 | 通関料(郵便事業株式会社) |
税込処理を選択している場合・・・エプソンの財務応援
勘定科目 | 消費税設定項目 | 内 容 |
---|---|---|
輸入仕入 | 81.不課税仕入 | 商品本体 |
輸入仕入 | 81.不課税仕入 | 関税 |
輸入仕入 | 64.課税貨物込4% | 消費税 国 4% |
輸入仕入 | 67.課貨物割込1% | 消費税 地方税 1% |
輸入仕入 | 81.不課税仕入 | 通関料(郵便事業株式会社) |
まとめ
輸入仕入の商品本体と関税は、消費税は不課税仕入です。消費税については、(商品本体+関税)に対して課税されます。そして、その消費税は、国税4%分と地方税1%分を分けての入力となります。その結果、地方税1%分は、付表2の「課税貨物に係る消費税額」に記載されることになります。通関料は国内仕入となり、消費税は課税仕入です。郵便事業株式会社に対して支払う200円の通関料は不課税仕入となります。
輸入仕入では、国内仕入では出てこないような様々な支出項目がでてきます。そして、これらについて適正に処理しないと消費税額や法人税額が正しく算出できないということになります。 また、税務調査でも否認されることにもなります。
個人事業者でも法人でもかなりの量の仕入をされている事業者は、輸入取引に強い税理士事務所へ会計業務を委託されることも検討してみては如何でしょうか。それにより、販売、仕入業務に集中する時間も確保できそうです。