ネット輸入ビジネス業者が押さえておくべき会計処理あれこれ




DSCN2648
Versailles,France

弊事務所には、ネット輸入ビジネス業者のお客様が比較的他事務所よりは多いかと思います。そのため冒頭の命題に関する質問をよく受けています。ebayや海外のネットショップから仕入れるケースなどは、特殊なお金の流れになるのでいろいろと注意することがあります。ということで、本エントリーは、ネット輸入ビジネス業者の会計処理について書いていきたいと思います。

*このエントリーで使っている「輸入ビジネス事業者」とは、法人が海外のネットショップやebayで商品を仕入れ、 日本へ輸入し、日本国内のネットショップやヤフオクで販売する事業者のことを指しています。
 

仕入れ時に利用する個人名義のクレジットカードについて

法人でも海外のネットショップやebayからの仕入れは、個人名義のクレジットカードで行われることが多いようです。その際、セキュリティ等の関係から決済はpaypal経由で行うことが一般的かと思います。そして、paypalに登録されるクレジットカードは、多くの場合は個人名義です。 そこで問題となるのが、仕入れ代金の支払(決済)は、法人口座ではなく、個人口座から引き落とされるということです。なぜなら、クレジットカードの引き落とし口座が個人口座になっているからです。しかし、通常は法人が行う仕入れ代金の支払いというのは、法人口座から支払うのが一般的です。

税務上の解決策として、その月のカード明細書の中から、仕入れ代金等の合た金額を、引き落とし日に法人口座から個人口座へ同額を振替えることをお勧めします。(現実的には、カード決済代金には仕入れ代金のほか転送業者へ支払う手数料などを含んでいるので、それら事業で要した合計金額を引き落とし日に法人口座から個人口座へ振替えるのが分かりやすいと思います。)

また、クレジットカードの利用限度額や利用するマイレージバンクのサービス等の理由から、数種類のカードを利用することが一般的だと思います。その際は、カード種別ごと、引き落とし日ごとに処理することになります。特に理由がない、給与以外の法人口座から個人口座への出金は「認定賞与」となります。それを回避するためにも、きちんと証拠を残しておくことが重要です。


法人口座から個人口座への振替は注意!

上記でカード決済代金のうち、事業に要した金額と同額を法人口座から個人口座へ振替ることを書きました。ただ、それに乗じて、プライベートの支払代金分までも法人口座から振替える方がたまにいらっしゃいます。プライベートのカード利用分を法人口座から個人口座へ振り替えると、これは例外なく役員貸付金としての「認定賞与」になります。決して、プライベートで利用した分まで、法人口座から振り替えないことです。
 

海外仕入は不課税仕入

海外から仕入れがある事業者の会計処理上の注意点は、仕入(国内からの仕入)と仕入海外(海外からの仕入)の2つの勘定科目を使う必要があるということです。このとき、 仕入れ代金は、通常はカード明細もしくはpaypalの明細を見て処理していきます。決して国内仕入れと同じ勘定科目を使用せず、必ず「仕入海外」などの別の科目を作成して、その科目の消費税の設定項目を不課税仕入にしておくことです。そうでないと、海外仕入れ分まで仕入税額控除してしまうことになり、結果として過大控除となり、これも税務調査で否認されることになります。会計ソフトの消費税設定については、別エントリーで説明したいと思います。
 

そもそも仕入とは?

では、海外仕入とは、具体的にどこからどこまでを指すのでしょうか。アメリカを例に説明します。 「仕入海外」に含まれるものは、商品購入代金のほか、原則として(一部例外もあり。)転送業者へ支払う手数料、そしてアメリカ国内の運送料(発送元〜転送業者)、アメリカから日本への輸送料、船保険代、関税、消費税(課税事業者は除く。)になります。これらすべて「仕入海外(消費税不課税)」の科目で処理していくことになります。これらの項目はすべて原価を構成するものだからです。そのため、期末棚卸の対象に含まれることになります。一般管理費に計上すると税務調査で否認される場合があります。
 

期末棚卸の対象になるものとは?

決算日には必ず棚卸しの作業をする必要があります。ネット輸入ビジネス事業者の棚卸しは、次の点に注意する必要があります。 まず、期末日現在、倉庫などに保管されている商品は棚卸の対象になります。次に、仕入やそれにかかる諸費用のうち、それらのクレジットカード利用日が決算日以前であり、決算日現在にまだ日本に到着していない分も棚卸の対象になります。特に、転送業者への手数料は大きい金額になるので「支払手数料」などの一般管理費などで処理しないように気をつけてください。

仕入にかかる諸費用の明細書はファイリングしておく

仕入のうち商品代金は、paypalやクレジットカードの明細書を見ることで把握できます。転送業者の手数料や輸送代金はカード明細に記載されています。その内訳は、転送業者のホームページ内からダウンロードで取得できることもあれば、梱包されている箱の中に明細書が入れられていることもあります。関税は、宅配業者へ直接現金で支払うことが多いので、その際に明細書をもらうことができます。それらを「仕入」というファイルを作成して、まとめてファイリングすると分かりやすいかもしれません。
 

原始証憑は必ず印刷してファイリングしておく

ebay、amazon、ネットショップ、転送業者が発行する明細書類は、必ず印刷しておくことです。その方法については、また別エントリーにて紹介したいと思います。
 

売上代金は必ず法人名義の口座へ入金

法人の売上高を個人名義の通帳へ入金することは、できるだけ避けたほうが良いです。一番多いパターンが、ヤフオクのアカウントを個人名義で使っていて、会社設立後もその個人アカウントを使い続けてしまうことです。個人アカウントなので、入金代金も個人名義の口座へ入金されてしまいます。 しかし、会社設立後は、改めて法人名義のヤフオクアカウントを作成し、入金口座は、法人口座へ指定することがベターです。 法人の売上高が個人口座へ入金されていると、役員賞与の認定を受ける可能性が高いからです。

ただし、法人成りの場合などで、どうしても個人名義を使うことをやむを得ない場合は、一定の要件のもと税務調査でも個人名義でも認められることもあります(詳しくは、弊事務所までお問い合わせください)。やむを得ない場合を除き、できるだけ法人名義の口座を準備することをお勧めします。
 

各種CSVデータをダウンロードして管理しておく

paypal、クレジットカード明細、インターネットバンキングのCSVデータなどをダウンロードして、エクセルなどで各項目別に管理しておくと、管理上、非常に分かりやすいと思います。
 

まとめ

最近、ヤフオクや楽天、ネットショップなどで海外直輸入の商品が増えているような気がします。円高なので輸入にメリットがあると目をつけている業者が多いのでしょうか。 ネット輸入ビジネス業者はお金の流れが他業種と比べて特殊ですが、日頃から適正な処理を心掛けていれば税務調査で否認される事はないでしょう。