[書評] 裸でも生きる
【2016年7月31日 | カテゴリー:書評 | 松田税理士事務所 】
アジア最貧国、バングラデシュでジュートという素材でバッグを製造販売する会社、マザーハウスの代表取締役、山口絵理子さんの本です。
まず、山口さんの幼少時代から話は始まります。いじめられっ子であったこと、登校拒否になったこと、そしてそれを克服したこと、
中学時代は不良少女になったこと、そして柔道に明け暮れる日々を送っていたことが書いてありました。その中でも、高校進学にあたって
柔道強豪からの推薦を蹴って、あえて柔道弱小高を選んだ理由がまさに山口さんならではという気がしました。
「地元埼玉でトップ校の女子柔道部監督が「うちに来ないか」と言ってくれた。しかし、私は悩んだ末、自分の力で優勝したい、最高の設備と最高の練習環境、そして最高の指導方法で優勝できても、それは私の実力ではない。私は私の力を信じて勝ち取りたい。」
その後、一芸入試で慶応大学に進学した山口さんは発展途上国と先進国の格差についての問題である開発学を勉強し、在学中に開発コンサルタントの会社でリサーチアシスタントの
仕事をすることになりました。その後ワシントンで米州開発銀行の短期雇用の職を得て渡米することになりました。ここでの経験がその後の山口さんの人生を左右することになるのです。
「トップの人が(途上国の)現場を知らずに、理論だけで政策を作っていては、結局NGOの人たちがあげてくる(途上国の)現場の声が全く反映されないじゃないですか。・・・私は、ものすごい違和感と現場との乖離を感じた。私の心にはひとつの決心が固まりつつあった。それは「途上国に行く。」ということ。自分の目でいったいどんなことが現場で起きているのか。、援助はほんとうに役に立っているのか。貧しいという現実をこの目で見なければ何も始まらない。」