なぜ税理士資格なのか?
2012年3月26日 9:01 PM | カテゴリー:未来の税理士へ捧げるメッセージ | コメント(0)
Minoo,OSAKA |
僕自身、全ての人に税理士資格の取得と独立開業をお勧めするわけではありません。 企業という組織の中で働くことが合っている人もいます。終身雇用の崩壊が言われて久しいですが、僕の大学時代の友人や、以前勤めていた会社(大企業の子会社)の友人を見ていると やはり日本はまだまだ終身雇用が根強い国なんだと感じています。そして、大企業のような組織の中で、充実した研修制度や福利厚生に囲まれ、そのうえで安定した生活を確保できることは非常に恵まれた職場環境なのだと思います。
しかし、意に沿わない異動や転勤、反りのあわない上司、過酷な残業、熾烈を極める出世競争、納得のいかない多くの事柄、ミスマッチ就職、組織での人間関係や職場環境からくるストレスなど、サラリーマンにも多くのリスク要因が待ち構えています。30年〜40年その環境に身を置くことは、人によっては自分らしく、人間らしく生きることが困難だと考える人もいるかもしれません。
一方、手に職を付け、自らの能力と技術で比較的自由にマイペースで働いていくこともまた職業の選択においては有用であると思います。
日本でもヨーロッパ流のワークライフ・バランスの考え方がある程度浸透し、インターネット環境の発達や職業観の変化等によって、ますます「脱組織・脱サラリーマン」の傾向は今後も続くのではないかと考えています。
本エントリーでは、なぜ多くの国家資格の中から「税理士資格」なのかを簡単に書いていきたいと思います。
税理士業のビジネスモデル
もし誰かに「起業するにあたって、どのようなビジネスが良いのか」と聞かれた場合、僕は以下の要素を併せ持つのが良いと答えると思います。
- 小資本で開始可能・・・税理士を開業するにあたって最低限必要な資金は、パソコン、電話、会計ソフト、財務ソフトです。 事務所については自宅から始めることも可能です。一方初期投資として、店舗、機械設備、商品の仕入、多数の人手が必要なビジネスはうまく行かなかった時が大変です。
- 継続的な課金収入・・・一回売って終わりというビジネスは、毎日毎日が営業で大変です。なので、大手企業が継続的に取引先になってくれていることや、契約上毎月収入課金できるビジネスモデルは最も重要なことです。
- 在庫レス・・・在庫を抱えることが必要なビジネスは多少不利なこともあります。在庫を保管する倉庫が必要です。また、在庫であるうちはそのコストを回収できません。仮に在庫のまま売れずに残ってしまったら資金がショートしてしまいます。
- 市場独占・・・資格、特許、技術力、ブランド力、商品調達力などで市場を独占できるているかどうか。しかし、低価格での市場独占はあまり有用ではないと思います。
無償独占という参入障壁の高さ
参入障壁が低いということは、それは競争相手が多数存在することを意味します。その先にあるのは、低価格での体力勝負の競争に勝ち続けるか、それとも撤退するかの二者択一です。 現在の「液晶テレビ」がいい例ではないでしょうか。かつては1インチ10,000円と言われていましたが、現在はその10分の1の1,000円くらいではないでしょうか。パイオニアが撤退し、その他の会社も 売れば売るだけ赤字だそうです。
先日、ヨドバシカメラに行って来ましたが、有名メーカーの32インチの液晶テレビが3万円台で叩き売られていました。つい、7,8年前は30万円で売られていた商品です。
一方、税理士業は無償独占です。無料でも他者の申告書を作成してはならないと法律で定められています。仮に参入したくても法の壁が立ちはだかり参入できないのです(しかし無償独占については、一部で将来的に崩れるとも言われており今後の動向に注視していく必要があります)。
比較的、独立開業がしやすい国家資格
もしあなたが国家資格を取得し、その後に独立開業を望んでいるのなら税理士資格の取得は一つの選択肢として役立ちます。 上記に掲げた、「小資本で開始可能」「継続的な課金収入」「市場独占」「参入障壁の高さ」をすべて併せ持っているからです。
しかし、現在の顧問先獲得は数年前と比べて非常に厳しくなってきてると思います。多くの税理士事務所がホームページを開設し、戦略的な料金表を掲載しています。 非常に低価格で請け負う事務所も増えました。僕が開業したのは2006年ですが、その時と比べると厳しさはかなり増していると言わざるを得ません。しかし、感覚的には まだまだ供給より需要のほうが多いと感じています。
あなたがもし、何らかの国家資格を取得して独立開業を目指そうを考えているのなら税理士資格の取得をオススメします。