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弥生会計に改善してほしい9つのこと


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Kyoto,Japan

当事務所のメインの会計ソフトは、エプソンの財務応援です。この「財務応援」という会計ソフトは税理士業界では有名ですが、一般的にはあまり知られていないようです。やはり、会計ソフトというと「弥生会計」が有名で、ほとんどの人は一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。 税理士業界でも弥生会計をメインの会計ソフトとして使っている事務所は結構多いかと思います。

実は弊事務所でもサブの会計ソフトとして弥生会計は使っています。しかし、今後もおそらくメインの会計ソフトとして使うことはないでしょう。 なぜ、ここまで有名なソフトである弥生会計をメインの会計ソフトとして使わないのか、その理由を一般事業会社の視点ではなく、会計事務所視点で書いてみることにしました。

弥生会計は一般事業会社向けの会計ソフト

これは弥生株式会社の営業マンに聞いた話なのですが、弥生会計はもともと会計事務所向けではなく、一般事業会社向けに作られたソフトだそうです。 もちろん、現在は、弥生会計AEという会計事務所向けのソフトも販売されています。しかし、基本設計が一般事業会社向けなので、会計事務所が毎日ハードに使うには、実際にいろいろな面で 使いにくいと思うことがあるのです。また、消費税の機能も他の(会計事務所向けの)専用ソフトと比べて若干弱い気がします。


弥生会計AEのライセンス体系が使いにくい

上述したように、弥生会計には会計事務所向けに設計された商品があります。「弥生会計AE」という名称の製品です。この弥生会計AEは、弥生PAPという弥生株式会社の会員に加入する必要があります(加入金50,000円)。そのうえで、毎年1ライセンス60,000円の 年会費が必要になってきます。

ここで、問題なのが60000円の年会費。これは実質は「ソフト1年間の利用料」であることです。例えば、平成23年に会員で、翌年は退会しましたという時には、翌年の平成24年には平成23年版弥生会計AEでの一切の入力及び編集ができなくなってしまうということです(閲覧のみ可能です)。平成23年に60,000円支払っていたにもかかわらず、翌年に退会すると閲覧以外の一切の機能は使えなくなってします。

つまり、年会費60,000円は、その年に限って使用を認められる「1年間の利用料」ということです。これは、実は非常に使いにくく、何らかの事情で退会してしまうとそれまで使用していた弥生会計AEへの一切の入力及び編集ができなくなってしまいます。これでは通常の市販の弥生会計を購入したほうがマシということになります。市販の弥生会計ソフトのライセンス体系は一度購入すると、ずっと使い続けることができます。

顧問先とのデータの送受信問題

最近は会計ソフトも安価になっており、また会計ソフトを導入したほうが効率的に記帳業務を行うことができるので、多くの会計事務所は顧問先に会計ソフトの 導入を進めています。ここで、重要になってくるのが会計事務所と顧問先とのデータの送受信の問題です。弥生会計には「データ送信」という機能があり、会計事務所とデータのやり取りを効率的に行える便利な機能があります。

しかし、その機能には「紐付け」という概念がないのです。「紐付け」がないので、例えば、顧問先が会計事務所に1月分のデータを送信した後でも、1月分の入力や編集が可能です。本来は、送信後はロックがかかり入力や編集ができないようにすべきなのです。なぜなら、会計事務所と顧問先とのデータの整合性が取れなくなるからです。このような時にもやはり、弥生会計は会計事務所向けに作られたソフトではなく、一般事業会社向けに作られたソフトだなと思います。顧問先に会計ソフトを導入してもらう時に、実はこの紐付けの機能の有無が非常に重要になってくるのです。

(データファイルの送受信ではなく、バックアップファイルの送受信では、編集制限という機能を使えば、顧問先での入力ができなくなります。)

出力できる帳票が限定的

会計事務所にとって「月次報告書」はある種、商品と考えています。 月次報告書とは、貸借対照表や損益計算書を始めとした会計の月次報告レポートのことです。お客様から預かった資料を元に会計事務所が会計ソフトで帳簿を作成します。 その後、お客様に報告書を提出しますが、その報告書がいわゆる商品になってくるので、やはり「一覧性、豊富かつ見やすい」ことが要件になってきます。

しかし、弥生会計が出力できる帳票は貸借対照表、損益計算書、月次推移表の3種類のみです。これでは、少なすぎます。また、印刷時のレイアウト設定もA3が標準になっているのか、ビジネススタンダードであるA4で印刷すると極端に文字が小さくなり、非常に見にくい帳票です。また、推移表についても2段組になっており一覧性に欠けていると言わざるを得ません。貸借対照表のデフォルト印刷設定が縦組みなのは閉口してしまいました。

そのため、多くの会計事務所は、「参謀役」などのかなり高額の連動ソフトを購入し、帳票を作成しているのが現状です。「参謀役」を使うと、非常にグラフィカルな月次レポートが作成でき、お客様にも非常に喜ばれるようです。また、Excelマクロのスキルのある会計事務所は、エクセルで独自のレポートを作成しているところもあるようです。また、会計事務所専用ソフトでは、非常に豊富かつ見やすい帳票の作成機能が内蔵されており、数クリックでそれら魅力ある月次報告書が作成できてしまうのです。
(*弥生会計AEには、5期比較帳票、ABC分析、損益分岐分析などの帳票はあります。)

頻繁に送られてくる弥生株式会社からの営業メール

一般に弥生会計を購入すると、製品登録をする必要があります。登録事項にはメールアドレスもあるのですが、うっかり製品情報等をメールで取得するにチェックしてしまうと、その後かなり頻繁に営業メールが送られることになります。特に、保守契約の切れる直前や新製品の発表直後は営業メールが多くなるようです。そもそも、会計事務所が関与しているケースなどは必ずしも毎年の購入は必要ないと思います。

バージョンが異なるとデータの送受信が不可能

会計事務所が顧問先に弥生会計を導入してもらうと、データのやり取りは弥生会計の機能である「データ送受信」を使って行うことになります。しかし、弥生会計は異なるバージョン間のデータのやり取りは認めていないのです。そのため、会計事務所がバージョン10、顧問先がバージョン9をそれぞれ使っている場合などは、エラーになり受信ができなくなってしまいます。

通常、会計事務所は毎年バージョンアップするため、旧バージョンを使っている顧問先とは、会計事務所も旧バージョンを使い続ける必要があります。そのため、デスクトップに弥生会計の各バージョンのアイコンがそれだけ配列することになり、また、「この顧問先はこのバージョン」といった管理をする手間が必要になってきます。この機能は、いち早く改善してもらいたいものです。

二重帳簿ができてしまうシステム設計

会計帳簿というのは、ひとつのデータのみ存在するのが本来は適正です。データが複数存在するのは2重帳簿であり、あってはならないことです。しかし、弥生会計は、システム設計上2重帳簿が簡単に出来てしまうのです。バックアップデータを保存し、再度、そのデータを開けるときに、新規保存か上書き保存か選択できるシステム設計です。ここで、新規保存を選んでしまうと、データのコピーを作成してしまい、つまり、もうひとつ帳簿が作成されてしまいます。

この弊害は、うっかり顧問先が新規保存でバックアップデータを開いてしまうと、コピーデータが作成され、現時点入力していたデータはいったいどのデータなのか、ということがわからなくなるようです。弊事務所のお客さんも何度かありました。原則、上書き保存で開くというシステム設計が良いのではないでしょうか。さらに、コピーデータを作成するには、別画面等で区分してやると間違うことなく分かりやすいと思います。

データファイルは3期分のみ

弥生会計には3種類のデータがあります。通常の「データファイル」、会計事務所などとデータをやり取りする「送受信ファイル」、保存用の「バックアップファイル」の3種類です。弥生会計のメニュー画面から直接アクセスできるのは、データファイルのみとなり、それは3期分しか存在しないのです。つまり、4期目になると、1期目のデータファイルは削除されてしまいます。では、4期前のデータを閲覧したい時はどうするのか? この時はバックアップファイルから起動する必要があるのです。これが、ちょっと手間がかかってしまいます。もちろん4期前のデータを見ることはめったにないのですが、そのデータを閲覧するために、一手間、ふた手間かかるのは正直面倒です。

過去データと当期データの同時起動ができない

当期のデータを入力しているときに、過去のデータを見たい時があります。例えば、前期の決算処理仕訳や経過勘定科目などを当期のデータと参照しながら確認したい時があります。 私が使用しているEPSONの会計ソフトは、ライセンス体系が許す限りそのライセンス数だけ同時起動が可能です。

そのためマルチモニターの環境だと、左画面に過去データ、右画面に当期データを起動し、過去データと当期データを相互に確認しながら業務を進めることができます。しかし、弥生会計はそれができません。過去データを見たい時は、一旦、当期データを終了し、過去データのファイルを開くことになります。弥生会計では、データファイルの同時起動ができないのです。

以上、弥生会計に改善して欲しいことでした。これらを改善するとすごく使い易くなるのになと思いました。もし、上記記事中で間違い箇所がありましたらコメントください。


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