法人が仕入目的に個人名義のクレジットカードを利用することにも厳格化が必要




銀行カードローンの実態調査へ 麻生金融相が表明
過剰な貸し付けが問題になっている銀行のカードローンについて「審査の厳格化を徹底するために検査を実施する」と述べた。カードローンのホットラインも開き、利用者から直接情報を集める体制も整えると表明した。
出典:日本経済新聞 2017/9/1

9月1日の日経の朝刊で麻生金融相が、個人の銀行カードローンの審査を厳格化を表明しました。実はこの前段階でも問題が生じていることを本日のエントリーで書いてみたいと思います。というのも法人が個人名義のクレジットカードで仕入れをした結果、その返済に困ってしまい、最終的に銀行のカードローンを利用してしまうケースが少なからずあるからです。つまり、前段階である、法人が仕入れ目的で個人名義のクレジットカード利用を減らすことができれば、結果的に、 個人の銀行カードローンを利用する人も減るのではないかということが予想できるのです。

個人名義のクレジットカードの審査ももっと厳格化すべき

銀行のカードローンの審査厳格化と同様に、個人名義のクレジットカードの利用用途の審査にも厳格化すべきであると思います。法人格で個人輸入ビジネスをしている人の多くは、個人名義のクレジットカードを法人の仕入れに利用しています。それも毎月数百万円の返済に上る額を仕入れているケースも珍しくはありません。海外の Amazonやebay、その他ネットショップからクレジットカードを使って仕入をしています。

果たしてクレジットカード会社はこのことを知っているのでしょうか? ひとりで10枚以上のクレジットカード持っている方もいます。そしてその10枚全てで限度額まで仕入れに使っていることが多いのです。仮にビジネスが破綻してしまうと、返済に困り、銀行のカードローンへと行き着き、最終的には、任意整理や個人破産へと突き進むことになりかねない非常に危険な行為であると思います。

クレジットカードの規約ではどうなっているのか

以下、三菱UFJニコス、DCカードの個人会員規約です。

DC個人会員規約
第11条(カードの利用・貸与の停止、法的措置、会員資格取消、カードの差替えなど)
1(5) いわゆるショッピング枠の現金化など換金を目的とした商品もしくは権利の購入または役務提供の受領その他の方法による資金の調達のためにするカードのショッピング機能の利用(以下「ショッピング利用可能枠の現金化等」と称します。)など正常なカードの利用でないと当社が判断した場合

「法人が仕入にクレジットカードを利用すること」は「ショッピング枠の現金化など換金を目的とした商品もしくは権利の購入または役務提供の受領その他の方法による資金の調達のため」の範疇に入るのかどうかということですが、「範疇に入らない」というのがカード会社の認識のようです。つまり、カード会社は、個人名義のクレジットカードで法人が仕入目的に利用することになんら制限を課していない、かつ「正常なカードの利用」の範囲内ということになっているようです。これはおかしいですね。経費の支払いならともかく、仕入→販売→入金という一連の流れを見ると、ショッピング枠の現金化に該当するというイメージを持ってしまうのが普通の感覚だと思うのですが、事実は違うようです。

法人が仕入に個人名義のクレジットカードを利用することはメリット以上のリスクがある

クレジットカードの審査の時に法人の仕入れ目的では使うことを禁じる文言が規約にあれば良いのですが、現在そのような規約はないということが分かりました。法人設立後は、法人名義のクレジットカードは作って(仮に作れても限度額が非常に少ない)、経費などを個人名義のクレジットカードで払うことはよくあることです。 しかし、仕入れを個人名義のクレジットカード利用するのは一般的ではなく、法人格で個人輸入ビジネスをされている方だけに多く見られるのが特徴です。

それは、各種個人輸入セミナーや書籍で、「個人名義のクレジットカードを仕入に使えばマイレージが貯まり、無料で世界一周できます。」と言う様な謳い文句にしていることも原因のひとつだと思います。クレジットカードの返済をほぼ売上金で賄っているため、来月売上がなければ返済に困ることになるため、マイレージやポイントが貯めるというメリット以上にリスクの方が大きいのです。

与信機能が働いていない

本来であれば、法人間の取引だと、与信担当部署が新規相手先企業の財務状況等を社内審査にかけて取引口座を開設するのが一般的です。そこでは、この会社なら取引しても問題ないとか、どのくらいの金額までなら大丈夫だとかが決められます。

しかし、個人輸入ビジネスだと、仕入に個人名義のクレジットカードを使うので、このようなことは一切省かれます。結果、返済できないであろう仕入れ金額を、個人名義のクレジットカードで使ってしまえるという状況を作り出してしまいます。やはり、法人格の仕入目的でのクレジットカード利用に制限をかけるべきなのです。

まとめ

法人が個人名義のクレジットカードを利用して仕入れをしていると、一旦会社の業績が悪くなれば、個人破産、任意整理に突き進むことになってしまう可能性が非常に高くなります。私の顧問先にも、また同業者の話の中にも、実際に個人輸入ビジネスをされていた方でこのような状況に陥ってしまったケースが少なからずあるのです。やはり 個人名義のクレジットカードの利用用途にも一定の制限を課すことが必要であると強く感じています