消費税制度がかかえる益税と逆進性という2つの問題

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l’Opéra de Paris

現在、民主党政権よる消費税率引き上げ法案について、審議が行われているようです。内容は周知の通り、14年4月に税率を8%、15年10月に10%に引き上げるものです。
自民党も当面10%への増税を表明しており、近い将来日本の消費税率が5%から大幅に増税するのは間違いないといっても過言ではないと思います。
その是非はともかく、本日のエントリーでは、日本の消費税制度が抱える益税と逆進性という2つの問題点について簡単に書いていきたいと思います。

益税問題

消費税を課税される事業者を「消費税課税事業者」といいます。そして、該当する事業者(つまり、消費税を納める必要のある事業者は)は、基準期間(法人は前々年事業年度、個人事業者は前々年)の課税売上高が1000万円超とされています。(*1)
例えば、3月決算の会社ならば、平成22年3月期決算で課税売上高が1000万円を超えると、平成24年3月期決算(平成23年4月〜平成24年3月)において、消費税課税事業者になります。


一方、基準期間の課税売上高が1000万円以下である場合は免税事業者となり、今期の課税売上高が1000万円を超えていても消費税は課税されません。たとえ、課税売上高が1億円であったとしても、その事業年度の消費税の課税義務はありません。

しかし、日々の営業取引等においては、通常は消費税込みの金額で請求するので売上金は消費税込みの金額で受領します。一方で、仕入や物品の購入は消費税込みの金額で仕入れをします。本来であれば、それら預かり消費税と支払い消費税の差額が消費税納付額になりますが、消費税免税事業者であれば、その差額部分(本来であれば納付額)は事業者の懐に入ってしまいます。
これが「益税問題」です。

(*1)平成25年1月1日以後に開始する年または事業年度からは、上記要件のほか、当課税期間の前年の1月1日(法人の場合は前事業年度開始の日)から6ヶ月間(特定期間)の課税売上高が1,000万円を超えた場合、当課税期間においては課税事業者となります。なお、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。
判定要件の特定期間は平成24年1月1日からなので、すでに判定期間は始まっていることにご留意ください。

逆進性の問題

同じ税額でも、所得が1000万円のAさんと、所得が300万円のBさんでは税負担については同一ではないというのが逆進性の問題です。
仮にAさん、Bさんの1年間の買い物金額が一緒だとして、1年間に支払った消費税額が25万円とします。Aさんの税負担は単純計算で25万円÷1000万円で2.5%、
Bさんは、25万円÷300万円で8.3%になります。つまり、所得300万円のBさんは、所得1000万円にAさんの3.3倍の税負担になります。所得の低い人のほうが税負担が大きくなってしまうのです。

これが所得税や法人税だと、所得金額に応じた税率になっているので、税負担はほぼ同じですが、消費税は所得が少なくても、多くても同じ消費税額を負担する必要があります。
本来、税金というのは所得の少ない人は少ないと思いがちですが、消費税においてはそれが当てはまりません。これが逆進性の問題です。所得が少ない人のほうが税負担が重くなってしまうという問題です。

*消費税の逆進性の問題については、経済学者の間でも様々な議論があるようです。生涯所得や消費性向などにより必ずしも当てはまらないことがあるかもしれません。本エントリーは、一般論としての消費税制度の問題点を記載しています。


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