クラウド版会計ソフトの導入を検討してみました。




 昨年くらいから「クラウドコンピューティング」(wikipedia)という言葉が、あちこちで聞かれるようになってきました。このブログの読者も一度は聞かれたことはあるかと思います。

 税理士業界でも、クラウド版会計ソフトを開発、提供する動きがかなり出てきているようです。そこで、当事務所でもその導入について検討してみました。

 

 まず、現時点(平成23年4月末時点)での、主なクラウド版会計ソフトは以下のとおりです。

 

A-SaaS

クラウド発展会計

Clear Works

ネットde会計

ツカエル会計

勘定奉行 for J-SaaS

まず始めに、会計ソフトというのは、データベースで成り立っているソフトウェアです。そのため、必然的に処理量が多くなる期末近くでは、
クラウド版会計ソフトは非常に操作感が重くなるのではないかと懸念しています。(この点においては、A-SaaSは解決しているようですね。)

また、コスト面を考えてみるとクラウド版会計ソフトは、PCソフト版と比べて非常に不利だと言えます。それは、基本的に月額課金か年間課金となっているためです。
その点、PCソフト版では、パッケージを購入後パソコンにインストールをすれば数年は使い続けられます。各メーカーは、毎年のバージョンアップを要請して いるようですが、
税理士の立場から言うと、バージョンアップが毎年必要であるとは思えません。未だに5年以上前の弥生会計を問題なく使っている企業も多くあるのではないで しょうか。

また、クラウド版会計ソフトはインターネット上で動くので、回線速度やパソコン性能による使用環境によってかなり操作感が違ってくるのかと思います。
光回線のように速度が速い環境だと、比較的サクサク動くもかもしれませんが、ADSL回線のようにそうではない回線だと、やはりモッサリ感のある操作性となると懸念しています。
また高性能なパソコンを使用すべきなのかもしれません。

そして、インターネット上の会計ソフトなので、基本的にはインターネット接続が必須となります。なので、インターネット接続が出来ない環境では利用することが出 来ません。
ちょっと時間が空いたのでカフェで会計ソフト入力を、というのはなかなかハードルの高いものとなると言えます。その点、PCソフト版では、パソコンさえ起動できればいつでも、どこでも利用可能です。

もうひとつ、セキュリティの問題があります。つい先日もAWSにおいて大規模障害が発生したばかりです。
AWSは多くの企業のウェブサービスの基盤を担っているといわれている非常に有名な世界的クラウドサービス提供会社です。

いくらクラウド版会計ソフトの会社が安全だと宣言しても、その会社が利用しているウェブサービス会社のサービスが障害を起こす可能性は否定できません。自前でサーバー環境を構築していても然りです。
100%はあり得ないのです。そのように考えるとクラウド版会計ソフトでも、PCソフト版と同様にバックアップ作業は必須となるのです。

会計ソフトで重要なことは、セキュリティ性確保と軽い操作性です。これらの犠牲の上にクラウド版会計ソフトが導入されるべきではありません。

このように考えると、今後の方向性としてクラウド版会計ソフトは否定できないものの、現時点での導入については時期尚早と言わざるを得ません。当事務所でもも う少し様子を見ながら検討していきたいと思います。